東北関東大震災が原因となって起きた福島第一原発の事故により放射能汚染が広まっている。大気中の放射能は通常は毎時0.1マイクロシーベルト以下であるが、周辺各県では数十倍に増えている。人体は年間2.5ミリシーベルトの自然放射能を浴びていて、人為的に放射能を浴びても約 100ミリシーベルト以下なら健康に障害はないと考えられている。因みにレントゲン撮影で一度に浴びる放射能は7ミリシーベルトである。
大気中の放射能が体内に取り込まれるのは約10分の1であるから、毎時100マイクロシーベルトの大気汚染があれば10日間で2ミリシーベルトに達する。原発の周辺、30キロ圏で1日中屋外にいると大震災後の12日間ですでに100ミリシーベルトの内部被曝を受けている地域があるという試算が公表された。
当然ながら農作物や水道水にも汚染は広がっている。福島、茨城、栃木、群馬県産のホウレンソウやかき菜、、原乳は暫定規制値を超えた放射能が検出されたたため、原子力災害特別措置法に基づいて出荷規制になり、福島県ではその他の野菜も含めて摂取制限が指令された。福島県いわき市、茨城県常陸大田市、東海村、そして東京都の水道水からも、乳児の摂取規制値、1リットル当たり100ベクレルを超える放射能が検出されている。
食品衛生法では明確な健康障害が出ない被爆放射線量を100ミリシーベルトまでとして、食品による放射線量の取り込みはその10分の1、年間で10ミリシーベルトを超てはならないことになっている。暫定規制値はこの基準を用いて急遽定められたもので、飲料水、牛乳は1リットル当たり、放射性ヨウ素300ベクレル、野菜はキロ当たり2000べクレル、放射性セシウムならば、それぞれ、200ベクレルと500ベクレルである。
この暫定規制値は1年間を通じて食べても安全であるという数値であるから、規制値を超えたものであっても1度や2度、食べただけで直ちに健康被害を心配する必要はない。その上に、放射能の人体への影響は判らないことが多く、被爆量が年間100ミリシーベルトを超えると危険だとしても、そのリスクの大きさははっきりしていない。同じ100ミリシーベルトの被爆でも一時に受けるか、じわじわと受けるかで様子が違う。
危機管理時には、情報を正確、適切に判断するすることはもちろんであるが、社会的影響を慎重に配慮して公表、対処しなければならない。その意味で、農産物の出荷規制は市場の混乱を避けるために仕方がないあろうが、摂取制限までしたのはいかにも性急であり、住民に必要以上の不安をもたらした。食品安全委員会から誰もが納得できる正確にして適切な安全性の見解が早急に答申されることを期待する。

