わが国の農家は耕地が平均2ヘクタール弱で狭く、十分に機械化できず、労力も高いので、農産物の生産コストが海外諸国に比べて著しく高い。米は11倍、小麦は10倍、牛肉や野菜でも2-3倍は高い。だから、安価な海外農産物が大量に輸入されてくると競争することができない。苦労して栽培した農作物を生産コストに見合った価格で販売することが難しいのだから、農家は生産意欲を失い、農業だけでは生活することができなくなっている。
昭和40年当時、600万ヘクタールあった農地は宅地、工場用地、道路などに転用されて469万ヘクタールに減少し、農業人口も566万戸、1151万人から220万戸、260万人に激減している。このうち、農産物を出荷、販売している販売農家は163万戸に過ぎない。その中で、耕地が5ヘクタール以上ある大規模農家や農業法人、14万戸によって6割の農産物が生産されているのである。
農業生産額は50年前には4700万トン、金額にして1.5兆円で、国内総生産(GDP)の9%を占めていた。ところが、現在は5000万トン、8.2兆円に増加はしているが、国内総生産に対する比率はわずかに2%弱に減少してしまっている。食品関連産業の経済規模は80兆円に拡大しているのに、食料を生産する農家の取り分はその10%でしかない。
平均的な販売農家の年間所得は828万円であるが、その内、農業所得は108万円に過ぎない。農業では生活できないので、販売農家でも8割が兼業であり、給与や年金で家計を維持しながら農業をを続けているのである。
農業だけでなく漁業も厳しい状況に直面している。 50年前には80万人であった漁業人口は今や22万人に減少し、水産物の総生産額は1.6兆円になっている。わずかに260万人の農民と22万人の漁民が1億3000万人の台所の半分を懸命に支えている現状をどう考えたらよいのだろう。

