東日本大震災の被害者で、5月29日で死者15269名、行方不明者が8526名となった。行方不明者数は、震災直後と捜索が始まった頃に急激に増えるのは当然だが、その減少率が鈍いのである。もう新たに死体が見つかるのはほとんどないので、身元確認が進まないので減らないのだろう。

 身元確認が進まないのは肉体と精神の関係を考えねばならない。人は肉体だけでその人と確認できないのである。たとえ長年連れ添ってきた配偶者でさえ、沢山の死者から選ぶとなると判別しづらくなる。いつもは死んでゆくのは一人だけだから、その人であると断定できるが、沢山の中からの選別は難しくなる。いつもはめていた指輪、その日に着ていた服など遺留品から自分の妻、子供だと判った、という新聞記事やテレビ場面が多い。

 人の肉体は精神が動かしていて、その人なりを作っているのである。似たような犬が並んでいると自分の愛犬は区別が付かなくなる。自分を見て激しく尾を振り、呼べば愛犬といえるのであり、顔つきからでは人は判別できない。その人らしさは姿勢、歩き方、話し方などで判断しているのである。

 外国での死生観は肉体は魂を入れる器であって、魂が人を動かすとする。従って魂が天に昇ると肉体は物質となる。日本人は死は魂が動かないものとする。従って、病院で死んで解剖をお願いするとほとんどは拒否される。多くは五体満足で行かせたいと遺族はいうのである。日本での解剖率は非常に低いので、かつては解剖率上昇を躍起にやった時代があったが、最近はそれもやらなくなった。私はむかし死体膝を用いて実験していたが、遺族に依頼すると、三途の川が渡れない、といっていつも拒否されていて、外国留学して充分に研究できた経験がある。

 その人なりは本人の心の表出である。肉体の病気は精神の病みが非常に多い。いつまでも自分の不幸を心にとどめず、明るい希望をもつことがその人を輝かすことになる。日本は自然の厳しい国であるが、皆の団結心と不屈の心を作ってくれる。また、十年もすると震災の傷も癒えて街も外見的には綺麗になるだろうが、日本人の助け合いの精神は根付き、より住みやすい国になるのだろう。 

 

 一人一人コメントを読んでいます。結構、英語での反応が日本人以上に多いです。一人ひとり返事を書きますと莫大な時間を喰いますので、各人には返事できません。この場を借りて説明申し上げます。私の記事に感じることがありましたら、コメントください。コメントは一人一人読んでいます。

 ということで返事なしになります。今後ともご愛読お願いいたします。

中村信也 東京家政大学教授

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