白梅がようやく咲き、これで三種類の梅が咲きそろいました。
そして、もう一つの梅は御柳梅です。直径が1㎝程度の小さな花で、秋から長い期間咲く花です。
さて、山口県では節分にクジラ料理を食べることは、先のブログ(2月8日)で紹介しました。
このように、食物はその地域の歴史や文化、風土・気候と密接な関わりがあります。地域の特産品を用いて作られる独特の料理は、家庭料理あるいは行事食としてその地域に伝承され、これが郷土料理と呼ばれるものです。
山口県の郷土料理には、けんちょう(けんちん煮)、ちしゃなます(ちしゃに煮干し入り酢味噌をかける、又は、ちしゃと煮干しを酢味噌で和える)、いとこ煮(小豆と根菜の煮物)、岩国ずし(押しずし)、茶がゆ、わかめごはん(干しわかめを刻んでご飯に混ぜる、又は、おむすびにまぶす)、鯨料理、瓦そば...と色々ありますが、今日はその中から"いとこ煮"にスポットを当ててみたいと思います。
《いとこ煮とは》
"いとこ煮"とは、似た者同士を煮るとして"小豆とかぼちゃ(又はさつまいも)の煮物"が料理本等に紹介されています。似た者同士を煮ることから"いとこ煮"です。
これ以外に、根菜などを数種類用いる"いとこ煮"もあり、火が通りにくいものから追々に入れることから、追々(おいおい)を甥と甥(いとこ関係)にかけて"いとこ煮"と称するようになったという説もあるようです。
根菜を用いる"いとこ煮"として、北陸地方と山口県の郷土料理があげられます。
北陸地方の"いとこ煮"の作り方は、数種類の根菜を煮て、これにゆで小豆を加えて味噌やしょうゆで味付けする温かい料理だそうですが、山口県は冷ました料理という特徴があります。
《山口県のいとこ煮》
山口県の"いとこ煮"も、地域によってレシピが若干異なります。
またもや、昭和50年代の話になりますが、山口県内の"いとこ煮"の地域性について調べたことがあります。
これは、先のブログ(1月28日)に登場された綿田先生を中心とする勉強会のメンバー(栄養士53名)が、綿田先生ご指導のもと調査研究し(本学学生も調査に協力)、まとめたものを日本栄養改善学会(松山市)にて発表したものです。その内容を紹介しましょう。
山口県の"いとこ煮"の具は、三通りに分類されました。
1.小豆、白玉団子、野菜、蒲鉾 ...萩地方、瀬戸内海側西部地方・県中央部(小野田・
宇部、山口・阿東)
2.小豆、白玉団子 ...北浦・長門、美祢・秋芳
3.小豆、白玉団子、野菜、イカ ...瀬戸内海側東部地方(防府、徳山・光・下松)
調味料は、砂糖+塩、砂糖+塩+しょうゆの二通りで、味噌を用いる地域はありませんでした。
また、広島県に近い岩国地域は、"いとこ煮"がほとんど残されていないのが特徴でした。
次は、調査研究の一環として調理した"いとこ煮"の(伝統的な)作り方です。
まず、小豆の皮が破れないように茹でて甘味(砂糖)をしみこませます。一方で、昆布だしで野菜(れんこん、にんじん、里芋、こんにゃく、しいたけ)、かまぼこを煮て、塩と淡口醤油で調味します。両者を冷ましてから合わせ、白玉団子を加えて完成です。
甘味が入る為、研究では"口取り"と位置付けていました。
そしてこの度、このレシピを基に再現してみました。
山口県の"いとこ煮"
実は、我が家の"いとこ煮"は、野菜が入らない小豆と白玉団子だけのものです。小豆あん(水気の少ないぜんざい)に白玉団子を加えたようなものです。甘~い食後のデザートです。
白玉団子を紅白(慶事)にしたり、法事などではヨモギを入れた団子にしたりします。このように、冠婚葬祭の折には必ず出される料理でした。
我が家の"いとこ煮"
調査研究の話に戻りますが、宇部・小野田地域の栄養士さんが協力して勤務先の病院給食(常食)で"いとこ煮"を提供し、その認知度や嗜好性についてのアンケートが実施されました(n=208)。
当時、40歳以上の方の8割は"いとこ煮"を知っておられ、10~39歳では2人に一人は知らないという結果でした。このことから、第二次世界大戦を契機に"いとこ煮"が家庭で作られなくなったことも把握することができました。
あれから30年近く経った今、"いとこ煮"を知っている人はどのくらいおられるのでしょう。
《おわりに...》
さて、学会と言えば、初めて参加したのが広島で行なわれた日本栄養改善学会でした。
その時は、人の多さにただただ圧倒され、何が何だか...というような状況でした。
そして、なんと今年9月に、またもや広島にて同学会が開催されます。隣県でもあることから、是非とも参加したいものです。
最後に、"いとこ煮"を今風に盛り付けてみました。2月らしさを表わすために紅梅(人参型抜き)・白梅を添えてみました。
器は、色が個性的な萩焼きのコーヒーカップ 今日のブログは、梅に始まり、梅に終わる...でした。
前年度の研修旅行(2年生)で、津和野・萩方面に出かけた折に、萩焼体験が組み入れてありました。
