被災地のようなストレス環境では、栄養不足が体調に与える影響は大きいのは学術上周知です。

特に子供、妊婦、高齢者は栄養状態に影響を受けやすいと言われております。

 

一方、震災から4カ月経った今でも、『簡易給食』が続いているなどのニュースを聞きます。

 

対策として、やはり給食センターの復旧するまで栄養状態の改善を待つしかないのでしょうか。

もしくは緊急措置として栄養強化食品、栄養補助食品などを利用することにより、『一刻も早い栄養状態の改善を優先する選択』は難しいのでしょうか。

 

本日は、被災地で不足がちと言われているタンパク質、ビタミン、ミネラルの不足が健康へあたえる影響についてお話しします。

こちらは、第65回 日本栄養・食料学会大会のシンポジウム『災害時における栄養・食糧問題とその対策を考える』での発表内容からご紹介致します。

 

●タンパク質不足と健康

 

不足から2~3週間で影響があると言われております。

極度のタンパク質の欠乏と不十分なエネルギー摂取の状態による起こる症状としては、浮腫(むくみ)、皮膚炎、無気力、発育障害、脱毛や退色、脂肪肝、いらだちと感情鈍麻などがあります。

 

通常の健康維持に必要なたんぱく質量は約50g/日(体重60㎏、WHO基準)です。

 

〇実際の食事で50g摂取するとはどのくらいのイメージでしょうか。

例)すき焼き肉3~4枚、あじ1匹、卵1個、豆腐半丁

⇒これらを食べてもタンパク質40g程度です。これでもまだ10g足りません。

一般の健康維持には約60g(体重60㎏)とも言われていますから、不足がちという認識は薄いのではないでしょうか。

 

専門用語ではKwashiorkor クワシオルコル と言われ、アフリカや東南アジアの低開発国 大きくふくれたお腹の乳幼児などが特徴的です。

母親の死亡などにより、十分なタンパク質を含んだ母乳から引き離されて、炭水化物(ヤムイモ、キャッサバ、サツマイモ)を中心とした薄い粥が主食となるためにタンパク不足になります。

特にたんぱく質の必要性の高い1~3歳の小児、妊婦、高齢者への配慮が大切だと考えます。

 

●ビタミン不足と健康

 

災害時には米を中心とした高炭水化物、食欲を高めるために甘い食品が多くなります。

またストレス状態により、活動エネルギーを高めるエネルギー源の生成の働きや、ストレスを和らげるホルモンの生成の働きが活発化します。

これらにはB1B2、ナイアシン、パントテン酸などビタミンB群が大量に消耗されますので、ビタミン不足にならないための補給が大切です。

 

●ミネラル不足と健康

免疫系、酸化ストレスに対する生体反応、糖代謝への影響、肺機能への影響など様々な影響があります。

例えば大切なミネラルの一つである亜鉛は、細胞分裂に関わるため、不足により、それが多く行われている臓器に影響が出ます。

味覚障害、精子の減少、無月経、貧血、皮膚炎、免疫能の低下、易感染性、甲状腺機能の低下、創傷治癒の遅延、また血糖値に関係するインシュリンの合成、ストレス時の免疫反応にも影響します。

特に高齢者、アルコール多飲者、入院患者は不足に成りやすく、感染症になりやすくなります。

 

このようにタンパク質、ビタミン、ミネラルの不足の改善は、被災地では緊急課題だと考えます。

被災者向けの健康管理のパンフレットにもタンパク質・ビタミン・ミネラルの不足に気をつける主旨が掲載されております。

 

しかし現実的にこれら栄養状態の改善がされてないのは物流などの物理的な問題が原因なのでしょうか。

 

大事なのは、具体的に『一刻も早く栄養状態を改善する』ことだと考えます。

 

すでに多くの専門家が指摘済みだと考えますが、食事の改善が難しいのであれば、緊急措置として例えば栄養強化食品、健康補助食品などの利用などの対策は難しいのでしょうか。

 

また今後日本ではこのような健康・予防管理はどのように進めていくべきなのでしょうか。

 

現状の行政で健康に関連する厚労省は医療が中心の管轄ですから、経済原理を考えると実質的に健康増進・予防を一緒に管轄するのは難しいでしょうか。

『健康・予防の方向性』を独立して担当する省庁などの新設が理想なのでしょうか。

 

内閣府の幸福度調査での首位は『健康』です。

経済発展とともに、生活環境や食環境は便利になった反面、メタボや医療費の上昇していますから、健康づくりには必ずしも良い環境とは言えないのかもしれません。 

子供の健康づくり、高齢化社会の健康づくり、メタボ対策など、今後どのようにこれらを仕組み作りをしていくのか、これからの重要な課題だと考えます。

 

復興の元気は、健康あってこそではないでしょうか。

今回の震災を通じて、強く改めて実感する機会となりました。

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